そもそも和紙とは?
そもそも和紙とは?
昭和49年(1974)に、毎日新聞社より「手漉和紙大鑑」は発刊されました。
限定1000部、全5巻からなる、今となっては入手不可の全国各地の手漉和紙の現物見本を数多く収録した、まさに和紙見本の集大成というべき代物です。
その中の解説書から引用して、ご紹介いたします。
これがその解説書第一巻: 表紙は因州和紙「強性紙」が使われています。
洋紙と和紙の違い
洋紙とは
- 比較的重い紙である。
- 紙の地合(地質)が引き締まって堅い。
- 和紙のような植物の長繊維を原料として使わず、主として木材パルプ繊維を短く叩解して用いる。
- 原料の主体は植物性の繊維であるが、諸種の材料を混ぜて用いる。
- 紙が不透明で、耐水性がある。
- 紙を漉くのに、ネリ液を使わない。
- おおむね大企業の大量生産で行われる。
など
書籍用紙などは印刷に適するように不透明性の白土、滑石、または炭酸カルシウムなどを混ぜ、またインクが滲まないようにするために耐水加工をするので自然と紙が重くなる。
手漉和紙とは
- 紙の目方が軽い。
- 紙の地合が多孔質で、通気性に富んでいる。
- 植物の長繊維、例えば楮、雁皮、三椏などの靱皮(じんぴ)繊維など)を原料として用いる。
- 自然材としての植物繊維がもつ光沢や色彩が紙にそのまま現れている。
- 紙が柔軟で、透明性がある。
- 紙に弾力があり、しかも強靱で耐久性があり、半永久的な保存に適する。
- 植物の繊維以外にほとんど混ぜ物をしない。例外として奉書紙系の楮紙や箔打ちに用いる雁皮紙などに白土が混入されるが、その場合でも洋紙に比較すれば含有量はきわめて少量である。
- 紙を漉くのにネリ液を使う。
など
これらから日本人の生活に親しくとけ込んだ和紙製品の一つとして、通気性や透明性を活かした障子紙が挙げられる。
そのほか文房具としての書道紙、短冊、色紙、画材用紙、表具用紙、文化財の保存修理などには和紙の美しさだけばかりでなく保存性を望まれて活用される。
祭りや儀礼に欠くことのできない提灯紙、灯籠紙、七夕紙。
強靱性を求められて金箔や銀箔の箔打用紙。
版を刷り重ねる版画用紙。
転写に用いる転写紙。
何回も熱湯をくぐって揉まれても大丈夫な染色の反物の札紙(ふだがみ)。
柿渋を塗って何度となく染糊をへらづけされる型紙原紙。
蝋をしみこませて鉄筆で文字を刻む謄写版原紙。
等々、和紙でなくては果たせない用途は、一つ一つは僅かな使用量ではあるが無限の広がりをもっている。